ゆうかんな女の子ラモーナ
『ゆうかんな女の子ラモーナ』は、「ゆかいなヘンリーくん」シリーズの9巻めです。シリーズの前半は、その名の通り、ヘンリーくんという男の子が主人公でしたが、8~14巻では、ヘンリーくんの友だちの妹、ラモーナが主人公です。
9巻で、ラモーナは1年生にあがります。大はりきりで学校に通い始めますが、感受性豊かで、エネルギーにあふれたラモーナにとって、小学校生活は出だしから思うようにはいきません。
たとえば、フクロウ事件がおこります。絵が好きなラモーナは、工夫をこらして、保護者懇談会で飾るフクロウを作ります。ところが、隣の席のスーザンが、ラモーナのフクロウをそっくりまねしているじゃありませんか!それに気づかない先生は、みんなの前でスーザンのフクロウをほめたのです。これでは、みんなはラモーナがスーザンのまねをしたと思うでしょう。ラモーナは怒りのあまり、自分のフクロウも、それからスーザンのフクロウも、くしゃくしゃにつぶしてしまい・・・。
先生はわかってくれない!そんなラモーナの気持ちに、子どもは心をよせ、おとなはハッとさせられます。
せんせいからのコメント
桐朋小学校 司書教諭 渡邉春菜
訳者の松岡享子さんは、「子どもだけでなく、かつて自分も子どもであったことを忘れかけているおとなたちにも」ラモーナの本をすすめたいと書いています。
桐朋小学校では、子どもたちとだけでなく、教員の読書会や保護者の読書会を開いて、一緒にラモーナのシリーズを読みました。笑いと共感、時々涙(子育ての悩みも語り合い・・・)のおとなの読書会。参加者からは、次のような感想が寄せられました。
・大きくなるって大仕事。おとなには笑い話のようなことでも、子どもにとっては大事件だったりして。毎日たたかってるんだよね。
・「おりこうにしていなさい」とか「○○しなさい」って、ラモーナにしてみればちゃんとわかっていることを言われて、イヤな気分。いつも先回りして、子どもにいろいろ言ってしまっているなと反省しました。
・「あなたなしではやっていけないわ」って、肝心な時には子どもにちゃんと伝えようと思いました。
・子どもの頃の気持ちを思い出させてくれる。クリアリーさんはすごい。どうして子どもの気持ちをあんなに覚えていて書けるんだろう!
親子での読書におすすめのシリーズです。